Cafe
◆◇今日の日本におけるカフェのカタチ◇◆

発表日:平成13年12月19日
発表者:田中 裕美
はじめに□■

 前回の発表のように、フランスでは、アウト・ドアのテラス式カフェ、 つまりオープンカフェが主流である。 そして、カフェはコミュニケーションの場であり、 自分の好きなように時間を使える(もしくは潰せる)場所である。 しかし、それは、フランスのカフェ文化の長い歴史の中で、 できあがった形式であり、フランスだったからこそ成功したのかもしれない。 逆に言えば、日本でフランス式のカフェを作っても、 それはただのまねであって、日本にはなじまないものかもしれない。
 今日、日本では、カフェがいろいろな雑誌で取り上げられ、騒がれているが、 ひと昔前にも喫茶店が流行った時期があった。 しかし、その後、その頃のほとんどの店はつぶれてしまった。 その理由として、その当時の喫茶店は、なぜヨーロッパではカフェが 受け入れられたのか、なぜカフェ文化をつくったのか、 というようなカフェの役割についての認識が欠けていたことがあげられる。 ただ、コーヒーを売るだけの経済的な手段としてしかとらえていなかった。  

 では、今のカフェ業界はどうか。私の見る限りでは日本らしい、 日本独自の、カフェのカタチを探して、いろいろなことにチャレンジしている ように思う。それは、ヨーロッパをお手本にしながら、あるいは、 全く新しいカタチをとりいれて。今回は、日本のカフェにスポットをあて、 様々なカフェのカタチを見ていきたいと思う。


あなたはどれを選ぶ?□■□
≪味≫ 
◇こだわりコーヒー◇ or ◆カフェめし◆

◇コーヒー豆の豆知識

@赤道を中心とした±25度に広がる帯状の地域(コーヒーベルト)で 栽培される。
A高山地⇒香りがよく酸味が豊か 
B低山地⇒苦みが特徴

◇ローストの度合い

@ミディアムロースト⇒中煎り。やや酸味が残る
Aハイロースト⇒中煎りの少し進んだぐらい。酸味が甘みにかわり、 苦みも少なく飲みやすい。
Bフルシティロースト⇒やや深煎り。こくや香り、苦みがよくでてくる。
Cフレンチロースト⇒深煎り。苦み、香りともにつよくなる。

◇コーヒーの味にこだわるカフェ
大坊珈琲店/東京都港区南青山3−13−20
スターバックスカフェ
カフェ・デロンギ
/東京都千代田区神田鍛冶町1−10−1 よこいビル1F
タリーズコーヒー赤坂店/東京都港区赤坂3−13−10
◆カフェめしにこだわるカフェ
エリオズカフェ/東京都渋谷区恵比寿4−20−7 恵比寿三越B1
Organic Cafe オーガニックカフェ/東京都目黒区上目黒1−24−1
 
 

《インテリア》
◇ミッドセンチュリー◇ or ◆和◆

◇イームズ時代のいすに囲まれて
WIRED DINER ワイアードダイナー/東京都渋谷区桜ヶ丘4−17
8B エイトビー
/大阪市西区北堀江1−22−13 エミマンション103
◆やはり日本人は和ですかねぇ
あかりcafe/東京都渋谷区神宮前1−21−15 原宿アトムビル2階


《カタチ》
◇家カフェ◇ or ◆オープンカフェ◆

◇友達の家でお茶してるみたい
Cafe Apres−midi カフェ アプレミディ/東京都渋谷区神南1−15−7 明星公園62ビル 5F
FLOOR! フロア/東京都武蔵野市吉祥寺南町1−6−7 3F
◆オープンカフェでパリジェンヌ気取っちゃう?
AUX BACCHANALES赤坂店/東京都港区赤坂1−12−32アーク森ビル2F
なかたに亭/大阪市中央区北久宝寺町4−1−10


《新しいカフェのカタチ》
◇◆カフェ+○○○ 複合店◆◇
カフェ+デリ  news DELI ニューズデリ六本木/東京都六本木5−4−2
カフェ+ヘアサロン GO★GO★Cafe/東京都渋谷区神宮前3−18−23
カフェ+アパレル  Dragonfly CAFE/兵庫県神戸市中央区京町83KDD神戸ビル1・2F


カフェの魅力は何ですか?〜考察にかえて〜□■□■

  私にとってのカフェの魅力、それは居心地のよさ。コーヒーの香り、 店の雰囲気、インテリア、流れている音楽、そこに集う人々・・・ それらが複雑に絡み合って作り出されるものだと思う。 人によってその好みは違ってくるだろうし、カフェに求めるものも 違ってくるだろう。とくに、コレとカフェのカタチが定着していない日本では、 今みてきたように個性豊かなカフェがたくさんある。 ひとりでに足が向いてしまうような空間。自然と人々が集まり、そこで、 出会いがあり、輪が広がる。一人の時間をすごすのも良し、 コミュニケーションの場にするのも良し、そんないろいろな使い方が 許された空間。

  そんな空間を人は居心地がいいと感じるのではないでしょうか。 かつては経済的な利益にばかりとらわれていたカフェ業界ですが、 今日では経営者側の姿勢に変化が見られるような気がする。 オーナー一人一人が何かしらのこだわりをもち、思い思いの空間を演出している 。お客さんはどういうカフェを求めているのか、一方的ではなく、 お客さんの立場にたって考えられたカフェが増えているのは、 これからの日本のカフェ業界に大きな影響を与えるであろう。
  フランスのようなカフェが日本にもほしい!そういう思い出始めたこの カフェ研究だが、日本には日本のカタチがあってもいいのではないかと思う ようになってきた。お客さんが、自分にあったカフェを選べるようになった 日本。日本のカフェ文化はここから、これから発展していくのではないだろうか。 〜〜〜あなたが居心地がいいと感じるカフェ、 あるいは、カフェに求めるものとはどんなものですか。〜〜〜



発展編 〜居心地のいいカフェづくり□■□■□

  「いき」の構造を勉強して、日本人には、独自の美意識があるような 気がする。そして、それは日本人が最も心を許せるものなのではないか。 西洋の文化に憧れつづけてきた日本だか、実は、西洋の人の心をも 引き付ける美意識をもっている民族だと、私は思っている。 何年かのサイクルで、海外で日本ブームが起こるのもそれを裏付けている だろう。
  浮世絵のなかにも、着物の柄のなかにも、 材料となるものはたくさんある。それを気付かないでいるのはもったいない。 フランスにはフランスのカフェがあるように、日本人だからこそ共有できる ような"居心地のよい空間"というのをつくっていけたら、と思う。



参考文献
Cafe-sweets 2001.4月号/2001.5月号/2001.10月号/柴田書店
CAFE WITH A VIEW / 村山光春 / アスペクト
ぼくの伯父さんの喫茶店学入門 / 沼田元気・堀内隆志 編著 / ブルース・インターアクションズ