2004年度 前期論文2
デヴィッド・ハーヴェイ「ポストモダニティの条件」
(第1部 現代文化のモダニティからポストモダニティへの移行)と
戦後のファッションの移り変わりについての考察
法政大学
国際文化学部
国際文化学科
4年B組
01g0108
長谷 文人
初めに
森村・川村ゼミでは5月12日・19日・26日とデヴィッド・ハーヴェイの「ポストモダニティの条件」
(第一部 現代文化のモダニティからポストモダニティへの移行)を読み進め、ゼミ全体でポストモダンについて考えてきました。
しかし、各週のゼミに臨む自分のテキスト解釈が万全だったとはいえませんでした。
そのため今回の論文ではまず再度文献についての解釈を各章ごとに行い、
そしてそれに関連したファッションについての考察を書いていこうと思います。
1. 第1章 序章
ハーヴェイはこの序章でジョナサン・ラバンの『ソフト・シティ』をまず取り上げ、
1970年代初期は、「一般庶民の世界でもアカデミズムの世界でも都市生活の諸問題が取りざたされていて、
ちょうどなにがしかの変化が認められるようになっていたときであり」と言い、注目している。この「変化」こそが、
最終的に大きな問題となり、またそこで、まずその1970年代に至るまでのアメリカの戦後の流れを振り返ってみたいと思う。
1945年第二次世界大戦が終戦を迎え、戦火を逃れ、圧倒的な生産力を温存したアメリカは、戦火によって疲弊した世界に、
対ソ封じ込め政策の意味合いを込めて、トルーマン=ドクトリン、マーシャル=プランといった形で、ドルを投下して支援を行った。
こうして、パックス=アメリカーナと呼ばれるような世界通貨としてのドルを持つ経済大国としてのアメリカ、
また核兵器を持つ軍事超大国としてのアメリカの指導下で国際政治・経済秩序が確保されていた。
国内に目を転じてみれば、好景気に支えられた収入、安定した物価、圧倒的な基軸通貨としてのドルを背景に消費社会が進行していく。
また、郊外の芝生のある一戸建て住宅に二台の自家用車、電話や冷蔵庫、テレビ、洗濯機に代表される電化製品に囲まれた、
ミドルクラスの生活スタイルが確立されるのもこの頃だ。この空前の消費社会が確立された時期に生まれた世代であるベビーブーマー達は
、彼らの両親のように大不況の時代を経験していないため、70年代に成人となり、社会の繁栄は当然の前提として、
その社会の中での矛盾や歪みに敏感になり、そこから生まれるエネルギーが70年代の変化の要因のひとつとして
考えられるのではないだろうか。50年代後半になると第二次世界大戦、朝鮮戦争に従軍した黒人から白人と同様の
権利を要求する黒人解放運動が広がりを見せ始める。ケネディとキング牧師という二人の英雄を生み、失った60年代は、
その後半にヴェトナム戦争を迎えることになる。「法と秩序」という欺瞞に満ちたアメリカに若い世代は、
反体制的な行動を取るようになる。そして、麻薬、性の解放、反戦運動、人種・性差別撤廃運動、のなかから、
既存の文化にはなかった、新しい文化が生まれたといえる。
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