〈要約〉の続き
≪Architectual
languages≫
James Stirling
彼は特定の都市コンテクストの新旧を兼ね備えた複雑な美を発展させていて、ポストモダンの特性の多くを統合させている。
Norman
Foster & Richard Rogers
彼らはヨーロッパ、北米、日本人が学んだものからポストモダン建築に新しい基準とスタイルをはめこんだ。
O.M.Ungers
"coincidentum""oppositorum"と呼ばれ、引用のスタイルと都市特有の類型学の発展における重要な建築家の一人。
Frankfurt Fair Hall(1972−82)
Krier
brothers
ポストモダン建築の発展は建物に隠喩と直喩が機能している。言語のような建築の考え方、つまり身体の部分や、動物の形、他の身体的特色などの輪郭を建物に使用する。
- Stanley Tiger-man's Hot Dog House(1975-77) 擬人的隠喩
- Daisy−house phallus-shaped
- Kazumasa Yamashita's Face House in Kyoto
- Minoru Takeyama's Beverly Tom Hotel(1974) phallic
神道「天理」の象徴 (ホテルのすみからすみまでリピートされている)
日本の建築家は建築物に記号、言語ゲームの明示や類似した建築の象徴を採用した。
磯崎 新
筑波センター(1980−83) モチーフ"absent presence"
MOCA(1982−86) in LA
同様にミノル・タケヤマ、タケフミ・アイダ、モンタ・モズナ、カズヒロ・イシイ、ヒロシ・ハラのような卓越した日本の建築家の作品はJungianism,
Platonism, Christianity Buddhism, Shintoismを含む、様々な象徴的システムを束ねている。
≪Deconstructive architecture≫
ポストモダン建築
不透明な境界線、誇大な遠近法、あやふやな間隔、壁の特質的衝突、パーツの多種多様な変形にみられる。
Ex.) ポンピドゥーセンター(RenzoPiano&RichardRoger)、香港上海銀行(NormanFoster)、
ルーブルのピラミッド(I.M.Pei)
Eisenmanらに見られる「脱構築的建造物」が急進的で革新的な建築上の発展。 →空間の人体主義的構造に挑む。
単位と規定の調和、表現と現実。
Tschumi&Eisenman は脱構築的建造物を「分裂の美学」に採用。脱構築は規律に支配されない建築の自然なコンセプトをもつ。内側と外側の間の境界に挑戦。完璧に合理的な空間はない。
Eisenman
「混乱の建築は賛美と戦わなくてはならない」
混乱は変化を巻き込むが、意味の境界線を完全に消すことはない。よって意味は、欠乏している論及に関係して、不在を暗に意味し、混乱した建築は存在であると同時に不在でなければならない。また、社会空間に一時的なもの(歴史)への注意が持つ反啓蒙主義の影響に関心をもち、時間は、過去の伝統を連想させることはできないが、建築の連鎖を永続的にしている。自己意識が空間の組織と社会運動の創造を剥き出しにする。
Ex.) HouseNo6 (変形、置換、追跡することによって組み立てられている。)
Jencks
彼のスタイルは、可能な空間で「優位性」として組み立てられた建造物。斜めアングルの壁のような、ゆがんだ遠近法。未来を想起させる神秘性、多義性、官能性を強調。
Tschumi
建造物の空間は、どのように無意識の願望、人間のエロティックで官能的な局面を組織化しているのか?
「目を楽しませることと体に快適なこと」は美的に避けられないこと。
統合における闘争と、調和における分裂を持つ多義的な空間と形の入り組んだ組織は、現代における理想を破壊する。
Ex) パリ北のParc
≪'Monstrous' or rural retreat≫
ポストモダン建築
コミュニティー要素、現場との関係を常に包括。
Ex.) Ralph ErskineのBykers(労働者階級のエリア)
コミュニティーは建築家と、協議の過程を通じて設計に関係してきた。
公共の環境を保護するために原型に古い建物を組み入れた。
王子チャールズ
彼自身を関連させた建築の実行=
「非常に愛されていた友達の明らかな吹き出物」として、トラファルガー広場のナショナルギャラリーに対し計画された拡張に異論。
保存と若い古典復興運動家に対する彼のサポートは、社会の違いや歴史を持たない単一化された有機的なコミュニティーのほうに追憶的で感傷的な概念の中にレベルを上げる。
Ex.) Quinlqn Terry
Kenneth
Frampton
建築は空間の歴史的明確さに注意を喚起しつづける人間の主題をおこす自意識の批評を発展しなければならない。その結果、地域的特徴を導き出す。
Jencks
彼のスタイルは、可能な空間で「優位性」として組み立てられた建造物。斜めアングルの壁のような、ゆがんだ遠近法。未来を想起させる神秘性、多義性、官能性を強調。
ポストモダンの建築はこのように、多様な関係、スタイル、技術を包括する多面のカテゴリーである。また、否定的で皮肉的な多種の概念を自身の中に見出す。ある人は、それらは抵抗とモダン建築の変形の、首尾一貫した背景を証明すると言う。また、先はどうか分からないが、現在、世界の主要な都市に広がっていることからわかるようにポストモダン建築は世界規模で発展し世界にものすごい速さで広がっている。ポストモダンのアーティストは相違性を制限し、虚弱にせずに相違性や多義性の価値を守る方法を見つける必要がある。
≪Key characteristics of postmodernist architecture≫
A
celebration of spectacle 見世物の賞賛
モダニストの建築では機能の二の次だった、美的要素を重視した建築。
空想世界や、見るものを日々の日常を超えて純粋なイマジネーションへと導く架空の'高さ'を追求。
Radical eclecticism 徹底的折衷主義
様々な様式、伝統、コードの利用。一貫性のない外観。
highとlowの区別を無くし、たびたび'low' cultureをその美的効果の為に利用している。
Random historicism 無原則な歴史主義
歴史上存在した様式の寄せ集め。
歴史:美的に興味深いイメージの意味の無い収集。
Irrational space 非合理的な空間
モダニストが空間を合理化・標準化し、予測可能で規則的な幾何学模様に従って構成したのに対して、ポストモダニストはそれを重要視せず、時間と空間の区分、社会的・合理的な区分をするのを止め、空間を'非合理的'または文字通り理解不可能なものにした。
Parodic metaphor パロディーの隠喩
擬人化、Toyをもじった建築。
≪Postmodern architecture :some examples≫
☆Stuttgart
State Gallery by James Stirling
- 様々な建築の歴史的スタイルの引用
- 州立美術館に奇抜な配色
☆Fin
D'Ou T Hou S
Wexner Center for the Visual Arts by Peter Eisenman
≪Spatial experience and Geography≫
ポストモダン建築についての議論は、必然的に20世紀後期の空間の経験と概念、とりわけ都市の地理学に重複する。Harvey、Edward Soja、Jamesonらはポストモダンは空間性に支配されているとしている。
Jameson
: 「空間は我々にとって実存する文化的優性である。」
Geography, place, locale,
locationなど優位を得ているこれらの語彙に注意を促す。
Foucault
:
「20世紀は19世紀において、批評的感性を社会生活の中に押し込めてきた、一時性という名の妄想を修正してきた。」
「空間は我々にとって実存する文化的優性である。」
'heterotopia'
1970年代初期、特に空間の組織を社会的、経済的、そして政治的戦略の 重要な側面であると理解してからは、批評の中で地理学や空間に注意を払う
ようになる。
このように社会理論研究の間で空間の理論は激増し、都市や地理学の空間の意識や主観性の組織化に新しい観点を開いた。Krier
brotherらポストモダンの建築家達の空間の利用や性質の議論、VenturiやJenksの「環境の記号論」は空間の社会的意識についての討論に貢献した。
さらにMike Davisらマルクス主義の都市理論者によって、都市空間は社会経済の文化的研究がなされるようになる。
→都市は首都の構造変化に対する反応を表現する新しい見本、隠喩(メタファー)となる必要がある。
アンリ・ルフェーヴル
「空間の生産」 :
「空間は場所や社会の出現、政治的・ 経済的苦闘を表現しながら生産され、再生産されている。」
空間の自然さや透明さという幻想を崩し、空間の類型学を打ち立てた。
エドワード・ソージャ
:
「私たちは、どのように私たちの意識は空間に隠されるのか、どのように権力関係や規律を明らかに無害な社会生活の空間に刻み込みのか、いかにして人間地理学は政治的なものやイデオロギーで占められるようになったのかを粘り強く認識しなければならない。」
・ポストモダニズムは、完全に合理化されたモダニズム空間への挑戦である。
→都市デザインに人間の感性や主張を再導入する。
デヴィット・レイ
:
「都市デザインにおいて、キュービズムの格子から地理学者たちが空間の感覚と呼んできたものへの変移は、ポストモダン建築として知られる複数のスタイルにおける空間の理論への、より複雑な注意を示す。」
・フェミニズムと空間
ジリアン・ローズ
〈考察〉
ポストモダンというアイデアは、「現代的」建築に対する批判として現れ、単純化して言えば、行き過ぎた機能主義に対する反発や、「もっと遊び心のある建築をしたい」という思いで、それがポストモダン建築の大きな原動力だったと言えるだろう。その結果、ポストモダン建築は、過去の歴史的建築物から装飾的意匠をさまざまに引用し、自らを飾り立てることになっていく。とはいえ、建築は機能主義を否定して装飾過多になるだけなら、アールヌーボーやゴシックの時代に帰るだけで済む。重要なのは、ポストモダン建築は「単純な過去への回帰」という方向を取らなかった、ということだ。アールヌーボーにせよ、ゴシックにせよ、その目標が機能主義でなかったというだけで、そこには必ず「建築はかくあるべきし」という哲学があった。ポストモダン建築はこの「かくあるべし」という「一つのゴール」自体を拒否してしまったのだ。つまり、「一つのゴール」という目的意識を持たず、「複数のゴールを同時に目指す」こと。自由に過去の建築から引用を繰り返して表面を飾りはするものの、一つの決定的様式には決して落ち着かない「様式なき様式」、それこそがポストモダン建築と考える。
〈疑問〉
-
ポストモダンの建築は、ほかの芸術におけるポストモダンとは違い、建築物としてある場所に置かれるとき、それは地域にとって一つの共有物となるので、制約が大きい。現在ポストモダン建築に対してはもちろん批判が多いが、このように、制約の多い芸術の例として、ほかにどのようなものがあるだろうか?
-
ポストモダニズムはモダニズムを批判し、もっと機能性から離れて、多様性、地域性を出していこう(もっといいモノを作ろう)とするという点で、すでにモダニズム的な思想(自己批判)を含んでいるのではないか。ポストモダニズムはモダニズムの一部という説は否定できないのではないだろうか?
〈参考文献〉
『デザイン概論』 飯岡正麻・白石和也編著 ダヴィッド社、
『西洋建築様式史』 美術出版社、
『現代建築〜ポスト・モダニズムを超えて』 宮内康・布野修司編 新曜社、
『世界デザイン史』 阿部公正監修 美術出版社、
『現代デザイン』 海野弘 新曜社、
『形とデザインを考える60章』 三井秀樹 平凡社新書、
『巨匠ミースの遺産』山本学治・ 稲葉武司 彰国社、
『新・インテリア用語辞典』 トーソー出版
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